障害児教育論に限ったことではありませんが、これらの議論を読む際には、その著者がどのような実践と立場から「もの」を言ってるのかという点を探りながら読む必要があると思います。
今後の特別支援教育の方針では、小中学校で学ぶ障害児は全て通常学級在籍として、必要な時間だけ取り出して特別支援教室で指導することを柱としています。またその対象とする障害を今までより広げ、全校体制でひとりひとりのニーズに応えるよう取り組むことも柱としています。
この方針転換は、これまで片隅に置かれてきた特殊教育を学校運営の中枢に引き上げようとするものですから、その意味では画期的な改革です。また、平等に通常学級の学籍を保障することで、インクルーシブ(共生)社会の流れに沿ったものともいえます。
しかし、知的障害や自閉症等の「発達障害」は制度を変えて指導すれば問題が解決するというものではありません。ところが得てして新制度への転換期には、期待ばかりが強調されるものです。
小中学校の現場に立つ先生方は、障害児指導の実際上の難しさを現実のものとしてとらえ、これらの議論に対決的姿勢でお読みいただきたいと思います。
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